ジブンミッケ

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オホーツク網走第22営農集団

オホーツク網走第22営農集団


鈴木 崇敬さん



 農作業の場面では力仕事もきっと多いことだろう。彼の盛り上がった腕はその経験を十分に語っていた。取り入れた作物を持ち上げたり、広大な畑の中で大型重機を動かしたり。筆者はそのような彼の姿を勝手に想像した。
 網走の畑作農家である鈴木崇敬さんは40haの畑で畑作三品(麦類、馬鈴薯、甜菜)、長芋、アスパラなどを生産し、日々の仕事や見聞から確かな技術を追求している。
 
31歳という年齢は、筆者がこれまでに取材を依頼してきた農家の中でもダントツに若いが、農業に対するバイタリティーはベテラン達のそれと比較してもほとんど圧倒しているようにも見えた。??
 
鈴木さんは農家の長男に生まれたのだが、ことに跡継ぎを期待されていたわけではなかったという。しかし、「親父の背中を見てきたから。」と、農業に対する情熱は幼い頃から養われていた。そのため、今までに農業以外の仕事に就くことを全く考えたことがなかったという。
 大学は、東京農業大学に進学し農業経営学を専攻。その後大学院の修士課程を修了し帰郷。現在、就農7年目である。
 
ところで、学部こそ違うが大学の先輩ということで、親近感を抱く筆者であった。

〜農業に対する姿勢〜
 
 「一定の技術があればそれなりに作物は採れるんだけど、それ以上のことを蓄積していって、さらなる技術構築を目指していくプロセスが楽しいですね。」今の仕事に抱く楽しみについて訊いたときの回答だった。現状に満足せず、常に先を見つめる姿勢が彼のスタイルである。現在は、余剰作物(規格外の作物)を有効的に活用する方法を模索しているという。具体的には、家畜農家に渡し鳥に与えて肉の成分変化など見ている段階であるそうだ。
 
一方で、仕事での辛い部分についても話してくれた。「気象庁のデータや流氷が明らかに小さくなってきている様子を見る限り温暖化は進んでいる。実際に亜熱帯のような気候になってきていて、気象の猛威にはビクビクしている。」
 
今年は雹の被害にあった農家もいるとかで、これからも心配だ。これは農家の宿命とも言えるだろうが柔軟に対応していくほかない。

〜消費者に向けて〜
 
 
福島第一原子力発電所事故による放射能漏れ。北海道で起きた白菜の漬物によるO157の集団感染。「そういう問題があってから、風評被害とかで野菜が売れなくなるっていうシナリオも分かるんですけど、マスコミに左右されないで、自分の知識を確立した上で情報を精査していってほしい。」「原発の問題で、放射能が出ているっていう地域以外のところでも風評被害で迷惑を被っている人もいるので、直接的じゃなくても日本全体で応援できるような消費構造になっていけばいいなと思います。」と鈴木さんは語った。
 
確かにテレビや新聞は情報を得るために必要なツールであることに違いないが、受け手の認識を決定づけるものではないし、そうあるべきではない。情報は、一人ひとりが自分の価値観と照らし合わせて精査するべきもので、それだけを安に信じ込むことは危険だ。健全な消費構造には消費者自身の健全な認識が必要なのである。
 
彼は幸いにも風評被害を受けていないが、全国各地の農家の知り合いが苦しんでいる姿を見ると同行者として悲しくなるという。農業の第一線で働く人の言葉であるだけに重かった。

〜オホーツクの可能性〜
 
 ところで、
鈴木さんは新潟が特に好きで、かつては足繁く通っていた時期もあったという。「特色ある農産物や海山物がある地域っていうのは、旅行に行った時に全てが斬新で面白く楽しく見えてくる。」とその魅力について語った。
 
一方、網走が属するオホーツクについてだが、ここは開拓してからの歴史が浅いため、伝統的な料理方法や伝統に基づく技術に乏しいという点で後手かもしれない。しかし流氷はやってくるし、おいしいものもありそうだし、景色も良さそうだし、新潟と比較しても別段悪くないんじゃないと筆者は思うのだが、彼に言わせると、「アピールが全く出来ていない。」らしい。
 
「でも、海あり山あり荒野ありのオホーツクにはものすごい潜在能力があると思う。そのポテンシャルをどう活かすかが今後の課題。」と彼は言う。
 
その言葉は、オホーツクがさらにデカい日の目を見ることの前兆なのか。オホーツクの魅力は十分世間に浸透していると思っていただけに、??今後どのような台頭があるのか大いに期待する筆者である。

〜若者世代へのメッセージ〜
 
 
石の上にも三年。どんな仕事を選ぶにしても共通して重要な言葉である。体力勝負の農家においては特に忍耐力が必要だと鈴木さんは言う。「何事も我慢して耐えていくことですね。」
 
最後に、社会人の先輩として今の大学生にメッセージをいただいた。「どういうシナリオを大学時代に描けるかっていうのがそのあとのスタートに影響してくる。どういうことがやりたいのか、常にアンテナを貼ってポジティブに氷河期を乗り越えていってほしい。」「されど4年、充実した内容にするためにはまずは自分でやってみることですね。」
 
されど4年という言葉をきいて、筆者は妙な焦りを感じた。物事を試しにやってみることができる時間はもう限られている。

編集者 石田 貴久


 
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