ジブンミッケ

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有限会社カナディアンブルワリー
有限会社カナディアンブルワリー 坂口典正さん

「誠実」



有限会社カナディアンブルワリーはノースアイランドビールという地ビールを製造している会社です。今回は代表取締役の坂口典正さんにお話を伺わせていただきました。

― 誠実に ―

坂口さんの座右の銘は「誠実」。坂口さんは仕事に対しても、人に対しても、何事に対しても真正面から真剣に向き合うということを心がけている。「誠実」という口にするのは簡単だが、実践することがとても難しいことを座右の銘としているのだ。また、滝口長太郎氏の言葉「打つ手は無限」ということも意識している。困難や試練というのは色々なところから予期せず降り掛かってくる。そんな状況でも諦めないことが重要だ。まさに打つ手は無限なのだ。歴史上の偉人でも、例えばエジソンなら失敗から成功を掴み取っている。「失敗というのは途中で諦めるから失敗になるのであって、諦めずにやり続ければ成功を掴み取れる。」坂口さんはこう語る。

― カナディアンブルワリー創業 ―

坂口さんは広島県出身。大学を山口で過ごし就職で東京へ行く。学生時代は外食産業やサービス業に興味があり、そのような業界でアルバイトをしていた。その中で坂口さんの目を引いた会社が主幹事業でゴルフ場を経営しているリゾート会社だった。最後の学生売り手市場といわれる時に、坂口さんはその会社に就職したのだ。その会社は新しい企業ということもあり中間層の人はいなかった。坂口さんは25歳と若くして、ゴルフ場の副支配人となる。副支配人はゴルフ場を総合的に管理するポジションである。周りは坂口さんより年齢が上の人ばかり。その人達と渡り合わなければならないという思いから、沢山のことを学び、吸収してきたようだ。坂口さんの父親は広島県で飲食店を経営していたので、坂口さんはサラリーマンの家庭を知らなかった。学生当時から、起業したいという思いをずっと持っていた。「どうせやるなら自分で事業を起こしたい。」そう思っていたのだ。何か面白いことはないないかなと日々考えていたそうだ。

そのような中で、坂口さんの同期の人が北海道でビール会社を設立しようとしていることを知る。しかし、その人は営業チーフであり、営業畑で働いていた人なので、管理や会社設立の仕方などに詳しくはない。副支配人として働く中で得た知識やスキル、経験を生かし坂口さんは起業したいという同僚の相談に乗っていた。その時は他人事のように感じていたのだが、相談に乗るうちに、坂口さんは同期のその人から一緒に起業しないかと誘われる。その後、一緒に地ビールを製造している会社に見学などに行くうちに、ビール事業が面白いと感じた坂口さんはカナディアンブルワリー設立に参加する。会社名がなぜカナディアンブルワリーかと言うと、創業メンバーである2人の取締役醸造技師がカナダのバンクーバーで修行し、当初導入したBOP(小型醸造設備)が製造されたのもカナダであった。それが社名カナディアンブルワリーの由来である。

創業時のカナディアンブルワリーでは地ビールづくりと言っても自分のビール、「自」ビールを作っていた。オーダーメイドのブライダルビールを作って引き出物として配ったり、飲食店のオリジナルビールを作ったりもしていた。坂口さんは、このビジネスはいろいろなニーズに対応できるため「面白い」と思ったそうだ。大手のメーカーは勿論、通常の地ビール会社では釜が大き過ぎて、一度稼働すると大量に製造し過ぎてしまい、対応できない。しかし、カナディアンブルワリーではBOP(小型醸造設備)を駆使しそのようなオーダーに対応しているのだ。2009年に工場を江別市に移転した際、1,000リットルの仕込み釜も導入し、現在はBOP(小型醸造設備)と併用している。

― 地ビールを北海道で作るワケ ―

広島県出身の坂口さんが何故北海道でビジネスを行っているかというと、北海道のブランド力の大きさだ。坂口さんはゴルフ場の副支配人時代に行ったオープンコンペが印象的だったという。そのオープンコンペでは北海道の特産品を景品にし、とても良い反響があった。特賞には北海道旅行、飛賞にタラバガニやジンギスカン、参加賞にじゃがいも等 北海道産の物を配った。その時、予想以上に反響が良く改めて北海道ブランドの力強さを感じたそうだ。さらに北海道札幌市は190万都市で人口も多く、国内でも有数の観光都市である。それはつまり、営業先も豊富で、人が多いので購買層も大きい。モノを売るということは人が居なければならない。

― 経営者として ―

起業家として何か特別意識していることは何かありますかと尋ねたところ、特に起業家として意識していることはないそうだ。一人の人として常に意識していることは沢山ある。それでも特に意識していることは先約優先。先約優先というのはどんな人が相手でも一番初めに約束した人を優先するということだ。どうしても仕事をしていると、家族や子供との約束を後回しにしがちだ。しかし、本質は先に約束をした人の方が優先であるべきだし、相手も先に約束があり、その日はどうしても空けられないということを伝えれば、わかってくれる。それに気づいてからは、「先約優先」を実行している。また、人は自分の鏡であるということも意識している。他人というのは自分を映し出してくれる鏡のような存在だから、他人を変えるには自分が変わるしかないのだ。また、それにも通じるが、何か困難などがあった時に時勢や天候、他人のせいにしていても変わらない。自分が変わることが大切なのだ。このように坂口さんは地道な努力を惜しまず、身近なところから誠実さ、真摯さを実践しているのだ。そして食品を取り扱うものとしては当然のこととして、安心・安全と賞味期限には細心の注意を払っている。商品に対してお客様に対して誠実に対応している。

― 地域力UP ―

坂口さんはビールという商品を通して地域貢献、地域力UPというのを目標に掲げている。札幌はビールの街としての印象がある。そのイメージをもっと定着させるよう、札幌でビールを利用したイベントを開催したいという。また、ビール販売を通して道外や海外からも収益を上げ、北海道の地域活性化につなげたい。企業の存在価値は社会貢献にあると坂口さんは語る。その社会貢献には沢山の形があり、人材育成だったり、税金を納めることだったりと様々である。坂口さんは会社は人材育成の場だと考えている。学校や家庭だけではなく会社の中で人を教育できるし、人は成長できる。企業がその受け皿となるべきだ。そのような意図から朝の朝礼や働くことを通して人材育成を実践している。また、企業としては税金を多く払うということを目標と掲げている。税金というのはその土地や国の財源になり、社会の為に役立てられる。つまり、税金を沢山払うということはそれ自体が社会貢献となるのだ。「私たちにとってビールとは社会貢献のツール。ビールを通して札幌の活性化、地域貢献に繋がり、収益が上がればそれは税金となる。」と語ってくれた。

― Beer is Art ―

「とりあえずビール」という文化がある。しかし、ビールという本当に奥深い飲み物だという。ホップや麦芽、酵母など様々な組み合わせがあり、まさにレシピは無限なのだ。カナディアンブルワリーの醸造技師は「Beer is Art」と表現する。芸術家が絵画や彫刻を使って自分の感性を表現するように、ビール職人はビールを通して自分の感性を表現する。その職人さん一人ひとりの感性を楽しむという、新たなビールの楽しみ方があるのだ。

最近は若者のビール離れという言葉があるが、それは「うまいビールの味を知らないからだ」と坂口さんは言う。ウニやホヤのように最初に食べたものが中途半端なものだと、それ自体がまずいという固定観念を持ってしまう。ビールも同様に最初に飲んだ物の印象で薄い、苦い、まずいなどの固定観念が生まれてしまう。

― 人間力 ―

北海道に限らず、老若男女かかわらず、人間力UPが必要だ。人としてハートの向上がないかぎり、人の痛みに気付かない、気付けない。傲慢な人というのは自分中心で、たとえどんなに強い力があったとしても人は付いてこない。力で抑えつけるのにも限界がある。心がつながるという関係は社員と社長との関係でも、お客様との関係でも重要だ。確かにあの味がおいしいからその店に行くといこともあるが、あの人がいるからあのお店に行く、あの人が売っているからこの商品を買うということもある。このように心で繋がるということも重要なのだ。10年後など将来をきちんとしたものにするには、今まさに変わらなければならない。そういうときに行政にやってくれと人任せではなく、自分自身から変わって行かなければならない。会社や家庭からそのようなシステムに変わる必要がある。礼儀作法や、人を思いやるという人間としての根幹を身につけることが必要だ。

― 編集者から一言 ―

坂口さんは座右の銘が「誠実」だとおっしゃっていたが、まさに誠実な方だった。アポイントメントの段階から、インタビューを通してとても優しく接して下さり、誠実さあふれる方だった。坂口さんにとってビールとは?と聴くと冗談交じりに「大好物です!」そして、「社会貢献のツールです」と答えて下さった。ビールや仕事、社会に対する情熱や何事にもまっすぐに向かい合う姿が印象的だった。「ビール」というものに対する私の印象も大きく変わった。ビールは芸術なのだ。

( 編集 インターン生 安保康平 )?
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